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ときわんジャーナル

行動経済学からみた特殊詐欺被害について

18.04.26

暮らしと経済豆知識

(行動経済学ってなに?)

 2017年のノーベル経済学賞(正式にはノーベル記念経済学スウェーデン国立銀行賞というそうです。ご存知でしたか?)は米国シカゴ大学のリチャード・セイラー教授が受賞しました。受賞理由は、セイラー教授が「行動経済学の理論的発展に貢献したこと」です。

 "行動経済学"といってもあまり馴染みのない方が多いと思います。これまでの経済学は「人は合理的に行動する」という前提で考えていますが、行動経済学は、これに心理学の考え方を取り入れ、「人は必ずしも合理的な行動をするとは限らない」と考えます。

 前回の本コラム(第63回)では、オレオレ詐欺などの特殊詐欺が引続き増えており、資金の授受方法が変化しているという話を書きました。行動経済学からみた消費者が騙されるメカニズムや特殊詐欺の予防法等についてまとめた大変興味深い論文がありますので、その一部をご紹介します。

(消費者が騙される心理的な背景)

 2017年末に金融広報中央委員会の福原敏恭氏がまとめた「行動経済学を応用した消費者詐欺被害の予防に関する一考察」の中から、①国内で発生した消費者詐欺被害の事例について分析し、犯人が用いるキーワードの特徴や会話の特徴、被害者を意図した方向に誘導する心理的なテクニック、②行動経済学の知見を採り入れた詐欺被害予防策、の2点について、要点を紹介したいと思います。

 消費者詐欺の犯人が用いるキーワードを分析すると、加害者の意図する方向に被害者を誘導しようとする"説得的話法"に関連するものが最も多いそうです。
 具体的には、a.警察官、裁判所職員、銀行員、会社の上司など話の「信憑性」に関するもの、b.会社を首になる、交通事故にあった、などの恐怖喚起や必ず儲かる、3倍で買い取る、還付など利得勧誘である「感情喚起」に関するもの、c.今日中、あなただけ、抽選に当選、など「希少性」に関するもの、が含まれます。

 次に、加害者と被害者との電話による会話の特徴としては、犯人が一方的に主導する流れの中で、被害者が感情的な状態に陥りやすく、その結果として、理性的な判断力が低下したり、警戒心が弱まったりして、犯人の要請をつい承諾してしまいがちになっているとのことです。

 平常時には自分は詐欺被害に遭わないと思っている人でも、実際に電話を受けうると、冷静ではいられなくなり、息子等に降りかかった危機という形で恐怖が喚起された後に、回避策が提示されるといとも簡単に受け入れてしまう、という心理状態の変化が生じるようです。こうした心理的なテクニックは、本来、企業の営業戦略の一環として消費者の態度・行動を製品購入意欲を高める方向に変化させることを目的として発展してきた"説得的話法"を、犯人が悪用しているということになります。

(心理状況に即した被害予防策)

 福原氏は、この論文の後半で消費者の心理状況に即した詐欺被害予防策を提案しています。
 なお、予防策を考えるに当たっては、a.消費者は「自分は詐欺被害に遭わない」と思い込む傾向が見られること(行動経済学で「自信過剰」と呼ばれる現象)、b.予防策自体の文字情報量が多くなり過ぎると、受け手は資料を読むことを断念・先送りしてしまうこと(同じく「情報過多」と呼ばれる)、c.予防策として「~してはいけない」など禁止的・強制的表現が並ぶと心理的な抵抗感を惹起しやすいこと(同じく「フレーミング効果」と呼ばれる)、といった点に配慮する必要があるとも述べられています。

 「従って、予防策としては、消費者が「自分は詐欺被害に遭わない」という自信過剰傾向に気づくことはなかなか難しいため、第三者がセミナー等の機会を通じて、自覚を促していくことが考えられます。また、平常時の準備として、犯人からのコンタクトの可能性を減らす工夫が大事であり、例えば、留守番電話機能の活用や防犯機能を備えた電話機(通話前に警告メッセージが流れ、通話内容を録音する機能や迷惑電話をブロックする機能を備えた電話機)を利用することが上げられています。
 実際に電話を受取ってしまった場合には、できるだけ会話の初期段階で詐欺的電話であることに気づき、電話を切ることが次善の策です。
 最後に、相手の要請に従った行動を取る前には、できるだけ第三者と相談する機会を設けることも大事になります。
 私も、日頃からこうした点を十分に意識しておきたいと改めて感じた次第です。なお、この論文に関心をお持ちの方は、是非ご一読ください(金融広報中央委員会のWebサイトからご覧になれます)。

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