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ときわんジャーナル

2024年度上期中の新紙幣発行。早いタイミングでの公表には理由があります。

19.06.27

お金の知識

こんにちは!ときわ総合サービスのおもてなし担当社員の「ときわん」です。


新紙幣(新しいデザインの日本銀行券)の発行、いわゆる「改刷」が決定・公表されました。

発行されるのは5年後ということですが、こんなに早いタイミングで公表する必要があるのでしょうか。


前回、銀行券が一新され発行されたのは2004年11月のことでした。

改刷が決定・公表されたのは2002年8月のことでしたので、公表から発行までは僅か2年3か月しかありませんでした。


その点、今回は「準備期間」が5年もある訳ですから、一見、ゆとり含みのスケジュールのようにみえます。


しかし、前回改刷が行われた際の準備期間の短さの方が、むしろ異例ととらえた方が良さそうです。


それは前回の改刷の背景を振り返ってみれば分かります。

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異例の早さで新紙幣発行に踏み切った2004年改刷の背景

15年も前のことですので、皆さんの記憶も薄れているかもしれませんが、2004年の改刷は多発する銀行券偽造事件への対応のために、急遽実施されたものでした。

当時の状況を振り返ってみましょう。



2001年秋頃から急増した銀行券偽造事件

2001年の秋頃に関西の鉄道の券売機から偽造券が発見されたことが事件発覚の発端でした。


そのため、券売機の使用は中止となり、駅員が駅頭で銀行券の真偽鑑定を行いながら切符を販売せざるを得ないため、切符を買い求める乗客の長蛇の列があちらこちらでみられました。

偽造券の行使は瞬く間に他の地域にも飛び火し、飲料などの自動販売機も狙われました。


このように銀行券偽造事件は「同時多発」的な広がりをみせ、当時大きな社会問題となったのです。



これまでの銀行券偽造事件にはみられなかった3つの特徴

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ところで、皆さんは銀行券偽造事件と聞くとどのようなイメージがありますか。

悪事をたくらむ大規模な組織が、多額の資金を投じ偽造の専門家を雇って、大きな輪転機を回して偽造券を製造する・・・・・・といった光景を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。


第二次世界大戦中、ヒトラーが英国経済をかく乱させるために、偽ポンド紙幣を大量に製造する極秘作戦を命じたことを題材にした映画もありましたしね。


実は政府を改刷に踏み切らせた前回の偽造事件には、これまでの「古典的」な偽造事件にみられなかった3つの特徴があったのです。

1・偽造券を製造するコストが劇的に低下したこと

当時を振り返ると、高機能パソコンが普及し、デジタル画像処理技術の目覚ましい進歩がみられました。

また機器およびソフトの価格が劇的に低下したため、大したコストを払わずともかつては相当高価だった機器類を入手することが可能になりました。

巨大な資金力や専門家の高度なスキルがなくとも、一般人が偽造券を簡単に製造できる環境が整ってしまった訳です。

2・一万円券よりも千円券の偽造が目立ったこと

従前の偽造事件は偽造一万円券を人前で行使して商品を購入するとか、釣銭を搾取するといった形が主流でした。

それに対し、当時多くみられたのは、高額券が使用できない券売機・自動販売機を狙い、偽造千円券を行使し、釣銭を詐取しようとする犯罪でした。

一万円券を受け入れるATMのような機械には高度な真偽鑑定機能が搭載されていることを見抜いたうえでの犯罪であったと思われます。

また、人前であれば偽造券が見破られた場合、逮捕されるリスクがありますが、機械相手の犯罪ではそうしたリスクを冒す必要がなく、偽造券行使の心理的抵抗が少ない点も指摘できるでしょう。

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3・偽造券の製造ノウハウがインターネットで広く拡散されたこと

ハード面での偽造コストの劇的な低下に加え、偽造ノウハウの面でも偽造券の製造・行使が行われやすい環境ができあがったことも特徴のひとつです。

具体的には、偽造券の作り方が、書籍や雑誌だけではなく、当時急速に普及したインターネットにより広く拡散されたのです。

こうした情報に接した一般人が、面白半分で偽造券を製造・行使したと推測される事件も起きたとみられます。



偽造券の製造ノウハウの拡散は犯罪にならないの?

少し横道にそれますが、偽造券の製造方法を公開した人はなぜ罪を問われないのでしょうか?素朴な疑問が沸いてきますね。


銀行券の偽造事件については、刑法の「通貨偽造の罪」において、罪に問われる「構成要件」が列挙されています。銀行券の偽造や行使、その準備行為などは刑法により罪に問われます。


その一方、偽造券の作り方を広く公表するという行為は社会的に好ましいことではありませんが、刑法で取り締まることは難しいといわれています。

分かりやすい例え話をすれば、完全犯罪の殺人事件を取り扱った推理作家が逮捕されないのと同じ理屈だそうです。


偽造券製造ノウハウを記載した記事の最後には「偽造券の製造方法はここに述べたとおりですが、実際に製造すれば罰せられますので、ご注意ください」とご丁寧にも書かれていました。

罪刑法定主義の原則を貫くことは重要ですから、実際に偽造券防止の対応を行う方々の苦労がしのばれます。



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2024年の新紙幣発行が早いタイミングで決定・公表された理由は?

2004年の改刷が、以上述べてきたような偽造事件への対応のため、タイトなスケジュールとならざるを得なかったことと比較しますと、今回の改刷は一見ゆとり含みのようにみえますね。

しかし実際はそうでもないのです。


それでは、新しい銀行券と入れ替える必要がある銀行券は世の中に何枚流通していると思います?


正解は「約150億枚」です。


一方、最近の国立印刷局の製造枚数は年間30億枚です。

それこそ輪転機をフル回転させれば、もっと多くの銀行券を製造することはできるのでしょう。


しかし、品質の高い銀行券を印刷し、新旧銀行券の入れ替えを円滑に行うためには、新しい銀行券発行の2~3年前から印刷を開始し、新銀行券を十分「備蓄」しておくことが望ましいと考えられます。

ATMや自動販売機などの現金取扱機器メーカーとの意見交換や調整期間をも踏まえれば、5年という改刷準備期間はむしろ適正ともいえるでしょう。

それに何と言っても、現行銀行券が偽造抵抗力を有している中での計画的な改刷は、偽造事件防止の観点から大きな意義があると考えられます。

銀行券改刷の関係者――通貨行政を担う財務省、発行元である日本銀行、製造者である国立印刷局――にとっては、偽造券の発生が落ち着いている状況のもとで、改刷公表から発行まで5年の年月を確保した計画的な改刷となったことは、極めて望ましい前例となったことでしょう。



2024年の新紙幣発行を楽しみに待ちましょう!

前回、日本銀行券が一新された時代の社会的背景や意義がわかると、2024年の改刷の意味合いが良く理解できますね。


5年も前から新紙幣発行を公表するとはなんて気が早い!と思うかもしれませんが、新旧銀行券の円滑な入れ替えや偽造防止の観点からも、しっかりとした計画のもとに公表されているわけです。

新銀行券の発行までの間、関係者がどのような作業を進めているか、思いを巡らしながら、新しいデザインの銀行券を実際に手にできる日を楽しみに待つこととしましょう。



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