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19.04.25
こんにちは!ときわ総合サービスのおもてなし担当社員の「ときわん」です。
毎日の生活の中で、何気なく使用している「お金(通貨)」には紙幣と貨幣があり、毎年新しいお金が発行されていることは何となく理解していますよね。
でも、どこからお金がやってくるのか、どんなルールで流通しているのか、ということをきちんと説明できる人は多くないはず。
今回はそんな「お金が発行され、流通する仕組み」について、掘り下げてみます!
「お金の価値が上がるのはどんな時?プレミア紙幣・貨幣の特徴は?」でも述べたように、一言に「お金」といっても、様々な場面で使われ、その呼び方や定義も多様です。
日常用語に止まらず、法律においても色々な言葉が混在しているのです。
このため「お金」については、個別具体的な場面において各用語の指す内容を考えることが必要になってきます。
先日のコラムでは、お札・日本銀行券を「紙幣」、硬貨・コインを「貨幣」と呼び、「紙幣」と「貨幣」とを総称して、「お金」と呼ぶこととしました。
「お金」=「紙幣」+「貨幣」と定義した訳です。
しかし、「お金の機能を有するもの」を「お金」と呼ぶ、すなわち機能面に着目して「お金」を定義してみようというのも、ひとつの考え方です。
そこで改めてお金の機能を考えてみましょう。
経済学の教科書によれば「決済」「価値保蔵」「価値尺度」の3つの機能があるといわれています。
この3つの機能のうち、経済の営みにとってとくに重要なのは、「決済」すなわち「交換」手段としての機能です。
この考え方に立てば、「お金」とは「決済手段としての機能をもつ金融資産」ということになります。
こうした機能をもつ金融資産は、中央銀行または政府によって発行されたものと、民間金融機関によって発行されたものとに大別できます。
少し専門的になりますが、経済学では、前者は「外部貨幣」、後者は「内部貨幣」と呼ばれています。
前者は、民間の経済活動の外側の経済主体(中央銀行、政府)によって供給されることから「外部」と、後者は、民間の経済活動の中でいわば内生的に創出されることから「内部」と、呼称されています。
日本で発行されている「お金」には、外部貨幣としては、「日本銀行券(紙幣)」と「貨幣(硬貨)」の2種類が、内部貨幣としては、民間金融機関の債務である金融機関預金(当座預金や普通預金など)があります。
それぞれのお金について、もう少し詳しく見ていきましょう。
日本には中央銀行として政府から独立した「日本銀行」があり、その日本銀行が「日本銀行券」を発行しています。
日本銀行券は、独立行政法人国立印刷局が製造した後、日本銀行が製造費用を支払って引き取ります。
この段階では、銀行券は「モノ」として取り扱われます。
その後、金融機関が日本銀行に保有している当座預金を引き出し、日本銀行の窓口から銀行券を受け取ることによって世の中に発行され、「お金」として使用されることになります。
日本では銀行券に対する需要が強く、銀行券平均発行高の対名目GDP比率をみると、他の先進国と比較して、従来から高い水準にあるといわれています。
その背景としては、
①決済に現金が好んで使われる社会環境
②良好な治安環境
③ATM等の普及による現金を入手しやすい経済環境
④偽造が少ないことによる銀行券への信認の高さ
といった要因が指摘されています。
日本銀行は、銀行券の需要に関する先行きの想定等をもとに、国立印刷局に銀行券の製造を発注しています。
因みに、2021年度の発注高は一万円券が9.0億枚、五千円券が4.1億枚、千円券が16.9億枚の合計30.0億枚です。
貨幣については、「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律」で、製造や発行は政府が行うこと、政府は製造に関する事務を独立行政法人造幣局に行わせること、貨幣の発行は日本銀行に製造済の貨幣を交付することにより行う、と定められています(第4条)。
また、この法律により、貨幣の種類は五百円、百円、五十円、十円、五円および一円の6種類と定められているほか、国家的イベントの際などに閣議決定を経て発行される記念貨幣は、この6種類に一万円、五千円、千円の3種類が加わること、発行枚数は記念貨幣ごとに政令で定めることが規定されています(第5条)。
さらに貨幣は、額面価格の20倍まで、法貨として通用することも定められています(第7条)。
クイズなどで、「店員さんを困らせようと沢山の小銭で代金を支払おうとしたお客さんがいた場合、受け取りを拒否することができるか」といった問題が出題されますが、それぞれの貨幣において20枚を超える受け取りは拒否できることが、この法律で定められているのです。
なおこの点に関し、日本銀行券については、「法貨として無制限に通用する」(日本銀行法第46条)、言い換えれば「日本銀行券を用いて支払いを行った場合、相手はその受取りを拒否できない」という、法貨としての「強制通用力」が規定されています。
「内部貨幣」である金融機関預金がどのように創出されるか――あまり聞きなれない言葉ですが経済学では「信用創造」と呼びます――について説明しましょう。
「信用創造」とは、「お金が当初の流通量と比較して何倍もの市場価値を生み出すこと」を指します。
一般的には金融機関が「貸出」を行うことにより「信用創造」が行われます。
例を挙げてみましょう。
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Aさんから100万円の預金を預かっている「ときわ銀行」が、Bさんへ50万円貸出を行ったとします。
この場合、この50万円は通常、Bさんが「ときわ銀行」にもっている預金口座に振り込まれます。
実際にはAさんから預けられた100万円が50万円分だけBさんへ移動したのですが、ときわ銀行の預金口座上では「Aさんの預金100万円」+「Bさんの預金50万円」=150万円のお金が存在することになります。
これが「信用創造」の基本的な考え方となります。
Bさんが「貸出」を返済する前には、ときわ銀行の手元で自由に使えるお金は50万円しかありません。
したがって、もし、Aさんから100万円を今すぐ下ろしたい、と申し出があったとしても対応できません。
そこで貸出を受けた人にお金をきちんと返済してもらうことは当然として、金融機関の経営を安定させるために預金を預けてくれた人には「一定期間預金してくれたら金利を付ける」と条件づけを行うことにより、金融機関は一度にお金を引き出されることを回避しようとします。
またBさんから返済されたお金には利子がついていますので、ときわ銀行はその利子からAさんの預金に対して支払う利子の分を確保し、残った差額がときわ銀行の儲けとなる訳です。
Aさんの預金に利子がついているとのうわさを聞いて、ときわ銀行へCさんも預金を始めます。
一方、ときわ銀行は預金が増えたので、新たな取引先であるDさんを見つけ、貸出を行います。
これを繰り返していくと、当初にときわ銀行に預けられていたお金(=預金)以上に、世の中にはお金が流通することになります。これが「信用創造」なのです。
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ちなみに民間金融機関は預金のすべてを貸出に回せる訳ではありません。
預金の引き出しに対応する必要があるだけではなく、日本銀行が行う金融政策の手段のひとつとして「準備預金制度」が設けられているからです。
「準備預金制度に関する法律」により、民間金融機関は、受け入れている預金の一定比率以上の金額を日本銀行に預け入れることが義務づけられているのです。
日本では、お金は、国民生活に必要な公共性の高い事業を行う機関である「独立行政法人」において製造されています。
具体的には、紙幣は「独立行政法人 国立印刷局」が、貨幣は「独立行政法人 造幣局」が製造しています。
また、国立印刷局では紙幣だけではなく「郵便切手」や政府の情報提供紙「官報」などを、造幣局では通常の貨幣に加え、記念貨幣、勲章なども製造しており、ともに人々の生活に密着した公共性の高い製品を製造する機関だといえます。
ちなみに、主要国における銀行券、貨幣の発行主体・製造者は次表のようになっています。
銀行券 | 貨幣 | |||
発行主体 | 製造者 | 発行主体 | 製造者 | |
日本 | 中央銀行 |
独立行政法人 国立印刷局 |
政府 |
独立行政法人 造幣局 |
米国 | 中央銀行 | 政府 | 政府 | 政府 |
ユーロエリア | 各国中央銀行 |
各国中央銀行 政府、民間 |
各国政府 | 各国政府 |
英国 | 中央銀行 | 民間 | 政府 | 政府 |
カナダ | 中央銀行 | 民間 | 政府 | 政府 |
(参考文献)日本銀行の機能と業務 第3章 日本銀行券の発行・流通・管理
国立印刷局や造幣局で作られたお金はいったん日本銀行に集められます。
民間金融機関は日本銀行に当座預金口座を持っています。
日本銀行本支店の窓口から銀行券や貨幣を受け取ろうとする民間金融機関は、その金額を日本銀行にもっている当座預金口座から引き落とします。
これにより、銀行券や貨幣は世の中に流通を始めます。(=銀行券・貨幣の発行)
その後、銀行券や貨幣は各民間金融機関から預金を引き出した個人や企業の手に渡り、様々な経済活動に利用された後、再び民間金融機関を経由して日本銀行に還流されることとなります。
日本銀行では、様々な経済活動に利用された銀行券が日本銀行の本支店の窓口に戻ってくると、枚数を精査するとともに、偽札が混入していないか真偽鑑定を行います。
また再度の流通に適するものか否かを検査し、汚損度に応じた選別(「鑑査」といいます)を行います。
日本銀行では、流通に適さない銀行券は廃棄するため、銀行券の需要動向をも踏まえたうえで、新しい銀行券を発行する必要があります。
そこで日本銀行では、毎年度新しい銀行券の製造枚数を決定し、国立印刷局に発注します(通常、前年度の1月末)。
財務省では、日本銀行の発注枚数を受け、年度初に日本銀行券製造計画を公表します(日本銀行の発注枚数と財務省が決定する製造枚数は同じです)。
これに対し貨幣については、財務省において、必要とされる貨幣の円滑な供給を図る観点から、世の中における流通状況等を勘案のうえ、年度ごとに貨幣の製造枚数が決められています。
例えば、2014年4月の消費税引き上げ(5%→8%)に際しては、1円玉の需要増を見込み、2014年、15年と1円玉の製造量が引き上げられました。
経済状況を見ながら製造枚数を調整しますので、世の中の流通状況等によっては、年度の途中で製造枚数の改訂が行われることもあるようです。
最後に今回のお話をまとめます!
・お金は、日本銀行券(紙幣)については日本銀行が、貨幣(硬貨)については政府が、それぞれ発行している。
・決済機能をもつ金融資産(金融機関預金)をお金と定義すれば、金融機関の貸出増とこれによる預金の増加(信用創造)によって、お金は増加し世の中に流通する。
・日本銀行券は「独立行政法人国立印刷局」により、貨幣は「独立行政法人造幣局」により製造され、日本銀行を経由して発行され世の中に流通する。
お金がどのように製造され、発行されているか、その仕組みを知ると、もっとお金が身近に感じられますね!